第3回 形成外科とは
今回は形成外科の扱っている疾患について皆様に知っていただければと思いアップさせていただきました。
どの科に受診、相談したらよいのだろうかと困ったときの参考になれば幸いです。
そもそも形成外科とはどのような目的でできた科なのでしょうか。
世間ではあまり知られていませんが、形成外科的手術の歴史は古く、
紀元前6~7世紀のインドで「鼻削ぎの刑」を受けた人に対する造鼻が始まりと言われております。
また第2次世界大戦において顔面外傷、顔面骨骨折、広範囲に及ぶ組織欠損などの戦傷者が多く、
形成外科手術が著しく発展したとも言われております。
『鼻削ぎの刑』後のイメージ図(作・橋本院長)
身体に生じた欠損や変形などに対して形態的にも機能的にも本来あるべき姿に再建修復し、
また、整容的によりきれいにすることによって生活の質の向上を目指すこと
を目的として1958年に形成外科学会が発足し、
1960年に東京大学病院に形成外科診療科が設立されました。
(日本形成外科学会HPより引用)
対象としている疾患には以下のものがあります。
・外傷(切り傷、擦り傷、熱傷、顔面骨骨折、切断肢・指など)
・皮膚・軟部組織腫瘍(悪性腫瘍、良性腫瘍:粉瘤、母斑、血管腫など)
・生まれつきの体表異常(頭蓋・顔面、体幹、手・足など)
・腫瘍切除後の再建(顔面・頭頸部、乳房、四肢など)
・瘢痕・ケロイド、褥瘡、難治性潰瘍(手術後の傷跡、床ずれ、糖尿尿足)
・加齢性疾患(眼瞼下垂、逆さまつげなど)
・美容医療
など、一言でいうと、
頭のてっぺんから足先まで身体の表面(見える部分)を中心に
治療を行っております。
少しでも多くの方々に『形成外科の診療』を知ってもらい、
「生まれつきのものだから」、
「手術による傷痕だから」、
「加齢によるものだから」、
と治療をあきらめている方たちのお役にたてれば幸いです。
また現在、iPS細胞やES細胞をはじめとする再生医療が盛んに研究されていますが、
形成外科もこれらの分野でも密接につながっております。
ケガや病気によって機能を失った方への治療にも活かされることが期待でき、
今後はさらに多くの方に貢献できると考えております。
次回は各疾患においてどのような治療がされているのか述べていきたいと思います。